サルナートへ向かう前に1つの事が胸につかえてしまう。
疑うということは罪であろうか
疑うということは罪を生むのであろうか
信じるということは善であろうか
信じるということは善を生むのであろうか
人を信じるということは難しい
だまされたという想念が頭をめぐる
そのことは私を不幸にする
己は疑うことをしてはいけない
己は信じることをしてはいけない
真実は大いなる存在のみが知っている
己はただ己の心に従うべし
慈善家の彼は僕の与えた50Rs.をどう使うかは、もはや僕の問題ではない。
ただそれだけであり、それがすべてである。
世の中には多数の偽善者と、ひとにぎりの善者がいる。
それはそのまま自分の心の中に於いても同じである。
大いなる善なる心があれば、それを見ることが出来るであろう。
サルナートではストーパを手帳にスケッチし、博物館を見学する。そして寺院ではお経の一節を声に出して読み、南無妙法蓮華経とお題目を唱えた。そうすることが自然に思えた。