女人となる事は、物に随(したが)って物を隨える身なり。
(1 54歳 2 文永12年 3 身延 4 932頁)
およそ女性という存在は相手に随いながらも、かえって相手を随えるものである。
や(矢)のはしる事は弓のちから、くも(雲)のゆくことはりゅう(竜)のちから、
おとこのしわざは女のちからなり。
(1 55歳 2 建治2年 3 身延 4 1147頁)
矢が飛ぶのは弓の力によるものですし、雲が行くのは竜の力によるものです。そのように、夫の行ないは妻の力によるというのが人の世の習いです。