天台大師によると衆生の住する世界には四土があり、凡聖同居土(ぼんしょうどうごど)は凡夫と聖者が同居する国土、方便有余土(ほうべんうよど)は二乗と菩薩の住所、実報無障礙土(じっぽうむしょうげど)は菩薩のみ住する土、そして常寂光土(じょうじゃっこうど)は法身・解脱・般若の三徳をそなえた仏の住所である。
そこでは浄土は遥か彼方にあるのではなく、この世界に時空を超えて「ある」ということになる。
「浄土と云い穢土と云うも土に二つの隔てなし 只我等が心の善悪によると見えたり」一生成仏鈔
凡聖同居土にも穢土と浄土があり、我々は今穢土に住するが四土不二であるが故に浄土を感見するのである。
「寂光を鏡に譬え、同居と方便と実報の三土をば鏡に遷る像に譬う。四土も一土なり」三世諸仏総勘文鈔
すべての人に常寂光土が現前する体験は身近にあるのである。