成道の聖地ブッダガヤ大菩提寺の釈尊像
成道の聖地ブッダガヤ大菩提寺の釈尊像

㉑一念三千(その弐)

 ゴータマ・シッダルタ太子(釈迦族の王子)は、城を出て六年に亘る厳しい修行の末、ついにブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開かれ仏陀と成られた。つまり成仏である。それはあたかも眼前を塞いでいたベールが瞬く間に除かれたように、真理を如実(あるがまま)に観る眼が開かれた、つまり真実の自身の姿を観たのである。

 

 法華経如来寿量品によると、それは空間的には宇宙の果てまで限りなく広がり、時間的には始まりも終わりもなく、過去にも未来にも永遠の生命。つまり釈尊は時間空間を超越した無限の生命を成就された。その境地が法華経において説かれる一念三千の世界である。

 

 天台大師智顗の「摩訶止観」巻五上の「理の一念三千」が

 夫れ一心に十法界を具す。一法界にまた十法界を具すれば百法界なり。一界に三十種の世間を具すれば、百法界に即三千種の世間を具す。この三千、一念の心に在り。若し心無くんば而已(やみなん)。介爾(けに)も心有れば即ち三千を具す。

 

 この唯仏与仏の悟りの世界を、末法の凡夫である我々の成仏の為に図顕された「事の一念三千」が日蓮大聖人の十界互具の大曼荼羅御本尊である。所謂、第一の大曼荼羅本門寿量仏の本尊也